談合事件(2)
前回に引き続き、談合事件について書きます。
談合事件では、刑事事件として処罰を受けることがある他、金銭的にも
1:発注者である市などからの損害賠償請求
2:公正取引委員会からの課徴金請求
という負担が課せられます。
すなわち、争う場合、市・公正取引委員会の両方と争わなければなりません。
1:市などからの損害賠償請求
談合がなかった場合に落札されたであろう金額と、実際の落札額との差額を、市などが被った損害と考えて賠償請求されます。
たとえば、談合がなかった場合に5000万円で落札されていた工事が、談合により6000万円で落札された場合、市は1000万円の損害を被ったと考えるわけです。
しかし、「談合がなかった場合に落札されたはずの金額」なんて、実際には分かるはずがありません。
そこで、裁判の中で、あれこれデータを提出して、「談合がなかった場合に落札されたであろう金額」を推測していくわけですが、最終的には、裁判官は「相当な金額」として、損害を決めます。誤解を恐れずにいえば、裁判官が、損害額を「適当に」決めるわけです。
過去の裁判例では、落札額の5パーセント~10パーセントを損害として考えているものが多いようです。
つまり、6000万円で落札された工事ならば、300万~600万円の損害賠償が命じられることになります。
2:公正取引委員会の課徴金
談合した場合、市などからの損害賠償請求とは全く別に、独占禁止法に基づき課徴金が課せられます。課徴金は、談合をした罰金ようなものです。損害賠償とは別に、罰金も支払わされるということになります。
しかも、平成17年4月20日に独占禁止法が改正され、課徴金が引き上げられました(詳しくは公正取引委員会のホームページをご覧ください)。
たとえば、損害賠償請求で10パーセント、課徴金で10パーセント取られ、さらに、裁判のための弁護士費用などを考えれば、談合した業者は大損です。さらに、談合が発覚したら、指名停止処分も受けますから、そのダメージは甚大です。
・・・と考えて、業者に「そんなにリスクが大きいなら、談合なんてやめておこう」と思ってもらうのが、課徴金の引き上げ等を規定した独占禁止法改正の趣旨です。
しかし、前回書きましたように、発注者である市などが、談合ができない(少なくとも「しにくい」)システムを構築しなければ、根本的な解決にはならないように思います。のんべんだらりと指名競争入札を続けているようではね・・・。
まして、市などの職員が、談合の存在を知っていながら黙認しているような場合ならなおさらです。
ちなみに、談合が発覚し、市などから損害賠償請求を受けた業者が、裁判の中で、「市の担当者も知っていたじゃないか」などと言って、「談合を知っていながら発注したのに、後で損害賠償請求するのはおかしい」と主張している判例をしばしば見受けます。
しかし、この主張はほとんど受け入れられることはありません。
なぜなら、市の職員が談合を知っていたとしても、「市の職員」と「業者」が結託して「市」に損害を与えたということであって、「市」が被害者であることに変わりはないからです。
ただ、知っていながら黙認したのであれば、市の職員も相応の処分を受けなければならないのは当たり前でしょう。市の職員と談合業者に連帯して賠償責任を負わせるべきだと思うのは私だけでしょうか。
長くなってしまいました。私が3年間争った事件について書くのはまた今度にします。
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弁護士 細 見 孝 次
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