« 2005年5月 | トップページ | 2005年7月 »

2005年6月29日 (水)

弁護士が相談を受けられない事情

 早いもので、金沢へ来て2ヶ月が経ちました。

 「梅雨で気が滅入る」と聞いていたのですが、今年は梅雨入りが遅く、昨日雨が降り出したばかりですので、引っ越ししてから2ヶ月間は非常に快適でした。これからがやや憂鬱ですが。

 ブログの更新も1週間以上空いてしまいました。すいません。忙しかったためです。

 当初は、開業後半年ぐらいは暇だろうと思っていたのですが、結構仕事があって忙しく、嬉しい悲鳴を上げております。

 仕事は、法律相談から受任したものもありますが、大半は、金沢の弁護士から紹介してもらったものです。金沢の先生方には深く感謝しております。

 さて、金沢の弁護士は、自分で依頼を受けずに、私を紹介しているケースがあるわけですが、「なんで自分で仕事しないの?」と疑問に思われる方もあるでしょう。

 弁護士が他の弁護士を紹介する場合、「他の仕事が忙しくて、依頼を受けられない」等というケースもありますが、概ね「利益相反(りえきそうはん)」を理由とするケースが多いように思います。

 私も「利益相反」を理由にお断りしたことがありますが、なかなか理解して頂けませんでした。今回はこの「利益相反」について少し書いてみたいと思います。

 「利益相反」とは、簡単に分かりやすくいえば、「喧嘩している2人につき、2人ともの弁護をするのは駄目」ということです。

 たとえば、AさんとBさんがもめているとします。

 弁護士が、最初にAさんから相談を受け、Bさんへの法的対抗手段をアドバイスします。

 その後にBさんから相談を受けたとき、Aさんへの法的対抗手段をアドバイスしてはなりません。この場合、Bさんからの相談は、「利益相反」を理由として、お断りすることになります。

 さて、なぜ紛争の両当事者につき、両方ともにアドバイス等をしてはならないのでしょうか。

 弁護士は、相談者・依頼者の利益のために活動をすべき義務を負っております。

 Aさんから相談を受ければ、Aさんの利益を考えて、アドバイス等をしなければなりません。Aさんの利益になるということは、逆から言えば、Bさんにとっては不利益になるアドバイスをするわけです。

 Bさんから相談を受ければ、Bさんの利益を考えて、アドバイス等をすることになります。それはAさんにとって不利益なことです。

 つまり、Aさんの利益を最大限に考えながら、かつ、Bさんの利益も最大限に考えるというのは、不可能なのです。両方にアドバイスをすれば、どちらかの利益が害されます。

 喧嘩している2人につき、2人ともに味方するというのは、自分一人で両手でジャンケンをしているようなもので、必ずどちらかが手抜きになります。

 そのため、弁護士は、紛争の一方当事者にしかアドバイス等をしてはならないということになっているのです。

 Aさんから既に相談を受けた等という事情がある弁護士が、Bさんからも相談したいと言われた場合、Bさんからの相談は受けられないため、私を紹介して下さっているということです。

 しかし、別の弁護士であれば誰でもよいわけで、「私」である必然性はどこにもありません。つまり、金沢の先生方は、開業したばかりの「私」の経営を気遣って下さっているのです。有り難いことです。

920-0902

  金沢市尾張町1-2-23 プチハイム尾張町1階101号 

 ネクスト法律事務所 

 弁護士 細 見 孝 次

 tel 076-261-6670/fax 076-261-6675

URL:http://homepage2.nifty.com/next-law/

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年6月21日 (火)

JR福知山線

 JR福知山線が運転を再開しました。

 安全管理の問題や従業員教育のあり方など、様々な問題が浮き彫りになりました。早期に改善してもらいたいものです。亡くなられた方、遺族の方には、深く哀悼の意を表します。

 この事故の責任の一端は、自分にもあるのではないかと思えてならず、複雑な心境です。

 というのは、私は以前、毎日福知山線で通勤していました。生まれが福知山線沿線地域なので、生まれてから約25年間ぐらい利用していたことになります。

 たまたま金沢へ来ましたが、実家にいたら、あの電車に乗っていても何の不思議もありませんでした(ちょくちょく利用していた時間帯の電車です)。

 国鉄時代はものすごく遅かった記憶があります。JRになってから、かなり速くなり、快適になりました。

 ところが、その快適さも慣れっこになってしまい、もっと快適に、もっと速くと願っておりました。

 電車が少し遅れただけでイライラしてました。

 中には、少しの遅れでJRの職員に抗議している人も見かけます。

 少し遅れたら、「回復運転しろ」と思ってました。

 JRは、そんな私のような利用客の要望に応えるべく、より速く、より快適にを追求し、無理がかかったのではないでしょうか。従業員を厳しく教育したのもそのためではないかと思います。

 連日、マスコミでは過密ダイヤの異常性を訴えていましたが、私は20年以上も利用してきて、ダイヤが異常だと思ったことは一度もありませんでした。

 テレビで、尼崎駅の時刻表が映し出され、異常であると批判されていましたが、あの時刻表、何度みたか分かりません。でも、今回の事故が起きるまで、異常だとは全く思いませんでした。

 それどころか、快速電車の本数がもっと多くならないかと思っていたぐらいです。

 ですから、私は過密ダイヤの異常性を非難する気持ちはおきません。むしろ、「異常さ」の「促進」を願っていた人間ですから。

 福知山線には、マスコミ関係者は乗っていなかったのでしょうか?尼崎駅で乗り換えをしていたマスコミ関係者はいなかったのでしょうか?

 記者会見でJR職員に乱暴な言葉遣いをしていた読売新聞の記者がいましたが、あそこまで偉そうに言うなんて、一体何様のつもりかと思います。

 それに、安全対策がおろそかになっていたともマスコミは非難していますが、JRを民営化して、利益をあげるように指令したのは国策のはずです。安全性を徹底して追求するなら、民営化しない方がよかったはずです。民営化を決めたのは中曽根内閣、すなわち、当時の国民の多数決と言って過言ではありません。

 マスコミは、何かとJRに対する非難の大合唱ですが、時刻表を見て「異常だ」というなら、マスコミもとっくの昔に分かっていたはずです。こういう問題が起こらない間は沈黙し、何ら注意喚起せず、起こった途端、非難の大合唱をするのは、どうかしているのではないでしょうか。

 二度と起こってはならない事故ですので、JRには安全対策には万全を期してもらいたいと思いますが、マスコミの報道の仕方には腹が立ってなりませんでした。それとともに、「異常さ」の「促進」を願っていた自分を反省致しました。

920-0902

  金沢市尾張町1-2-23 プチハイム尾張町1階101号 

 ネクスト法律事務所 

 弁護士 細 見 孝 次

 tel 076-261-6670/fax 076-261-6675

URL:http://homepage2.nifty.com/next-law/

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年6月15日 (水)

架空請求の対処法

 最近少し相談が減りましたが、相変わらず架空請求の被害は後を絶たないようです。

 最近数件相談があったのは、アダルトサイトにアクセスして、適当にボタンをクリックしていたら、いつの間にか入会したことになっており、入会金や、退会手数料を請求されたというものでした。

 対処法は簡単です。

 「無視」

 とにかく徹底的に無視することです。

 架空請求業者は脅してきます。「裁判起こしますよ」などと電子メールやダイレクトメールを送ってくるのが定番です。

 ここで反応してはいけません。無視してください。

 一番いけないのは、架空請求業者に問い合わせをすることです。問い合わせをしたりすれば、「私は請求されてびびっています」という意思表示をしているのと同じです。架空請求業者からすれば、「鴨がネギしょってやってきた」という状況になります。架空請求業者は、これ幸いと言葉巧みに脅してきます。

 また、より一層しつこく連絡してくるようになります。せっかく来た「鴨」を逃すまいと必死になるからです。

 よって、無視。

 とにかく無視。

 何度メールを送ってきても無視。絶対に反応してはなりません。

 既に連絡してしまった場合、「払う必要がないことが分かったから払わない」と一言言って、以後連絡をとらないようにしてください。

 「裁判起こす」と言われたら、「どうぞ」と言って下さい。裁判起こすには、自分の住所や氏名を明らかにしなければなりません。架空請求業者は詐欺師ですから、詐欺師が自分の居場所や名前を正々堂々と明らかにするはずがないのです。

 ・・・と思っていたら、最近、本当に裁判起こしてくる悪質業者がいましたので、裁判所からの書類が届いたら、迷わず弁護士のところに相談に行って下さい。対処しなかったら、詐欺師の言い分を裁判で認めてしまったということになりかねませんので。

 それから、もう一つの注意点としては、「絶対に支払わないこと」です。

 人がいい方なら、「数万円払って済むものならば、払って解決しよう」という考えを持つことがあります。

 しかし、払ったら最後、あなたは「鴨リスト」に載ると思って下さい。

 一度支払ってしまえば、架空でも何でも脅せば金を出す人(=カモ)だと架空請求業者は認識するわけです。何度でも形を変えて請求してきます。より一層架空請求を招くのです。払っても解決しないということです。

 よって、架空請求業者にお金を支払うことは、火に油を注ぐようなもので、全く解決になりません。ですから、絶対に支払ってはなりません。

 架空請求というのは詐欺です。つまり、架空請求業者は詐欺師です。すなわち、架空請求業者は犯罪者です。犯罪者とまともに応対する必要などないのです。適当にあしらって、無視していればよいことです。

 それでも心配であれば、支払う前に弁護士に相談して下さい。相談料かかってもその方が得です。私のところに相談にこられたら、「無視してください」の一言で終わってしまいますが(短時間で終わりますので5250円で済みます)。

920-0902

  金沢市尾張町1-2-23 プチハイム尾張町1階101号 

 ネクスト法律事務所 

 弁護士 細 見 孝 次

 tel 076-261-6670/fax 076-261-6675

URL:http://homepage2.nifty.com/next-law/

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2005年6月10日 (金)

弁護士あれこれ

 今日は事件についてではなく、弁護士について感じるところを書いてみます。

 私は大阪で約4年半仕事をし、今年4月に金沢へ引っ越し、今年5月から独立開業しました。

 金沢に来て驚くのは、弁護士の出勤時間が非常に早いことです!

 私は9時前ぐらいに出勤するのですが、通勤途中、すでに一仕事を終え、事務所ビル前で一服している方を時々見かけます。

 また、昨日はなんと9時前に電話がかかってきました。事務員からではなく、弁護士からです。純粋に衝撃でした。大阪では一度もなかったことです。

 大阪で法律事務所に電話してみましょう。

 午前10時頃だと「ただいま弁護士は外出しております。」と言われることが多いです(もちろん本当に外出していることもあるのでしょうが。)。事務員と仲良くなってくると、「いや・・・まだ出勤しておりませんでして・・・。」と正直に言ってくれます。

 午前11時頃は微妙ですが、一番つながりやすい時間帯だったように思います。

 午後はあまりつながりません。法廷・法律相談・会議・打合せ・委員会・飲み会と本当に予定が目白押しであることが多いからです。

 金沢で法律事務所の挨拶回りをしたとき、大阪の感覚で、当初は夕方に訪問していました。朝行っても不在だろうと思ったからです。

 ところが、朝一番で訪問したときの方が、直接ご挨拶できることが多く、こんなことなら最初から朝にすればよかったと思いました。

 私は朝9時出勤で、「金沢で1・2を争うぐらい早い出勤だろう」と思っていたのですが、もしかしたら遅い方なのかもしれません。

 通勤途中にタバコを吸っておられる方とお話したところ、「7時頃には事務所に来てるよ。」と言われていましたので。

920-0902

  金沢市尾張町1-2-23 プチハイム尾張町1階101号 

 ネクスト法律事務所 

 弁護士 細 見 孝 次

 tel 076-261-6670/fax 076-261-6675

URL:http://homepage2.nifty.com/next-law/

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年6月 7日 (火)

談合事件(4)

 引き続き談合事件についてです。

 今回は3年間争った事件について書いてみます。

 先日も書きましたとおり、談合の嫌疑がかけられますと、①発注者である市などからの損害賠償、②公正取引委員会からの課徴金という二重の負担が課せられます。

 私が経験した事件では、談合の存在を争い、市と公取委と、両方と争いました。

 まず、公取委の調査が入りました。

 その後、市からの損害賠償請求を受けて争いました。(地方裁判所)。

 それとともに、公取委から課徴金納付命令を受け、これも争いました(公正取引委員会)。

 いずれも、談合の証拠とされたのは「供述調書」のみでした。

 「供述調書」とは、公正取引委員会が業者から事情聴取をする際、公取委の職員が聴取内容を書面にまとめて、最後に、業者に署名・押印させるものです。

 くだんの鋼鉄製橋梁建設工事では、談合を指示する文書が証拠として見つかったようですが、私の担当した事件では、そのような文書は一切なく、「供述調書」のみでした。

 公取委が証拠とした「供述調書」には、談合を認める旨の記載がありました。

 そして、最後に、業者が署名・押印もしています。

 しかし、それは、公取委の職員に脅されて、署名押印したもので、内容は虚偽だと争ったのです。

 脅されたというのは、たとえば、公取委の職員から、「これに署名しなかったら、おまえの会社を潰してやる」と言われたというのです。会社がつぶれたら一家路頭に迷うので、やむなく署名したと業者は主張していました。

 公取委は、そのような脅しはしていないと主張してきました。

 そこで、供述調書は、脅されたために署名押印したものか否か(任意性があるかどうか)、公取委と延々と争いました。

 約3年間争って、ようやく審理は終わりましたが、まだ審決(判決のようなものです)は出ておりませんので、いまは結果待ちの状態です。

 供述調書を作るとき、公取委では録音も録画もしません。ですから、脅されたか否かというのは、分かりやすく言えば、言った言わないの水掛け論です。

 端的に言えば、この水掛け論をやるのに、約3年かかったわけです。そして、この水掛け論に勝利するという保証もありません。

 供述調書に署名するときは、簡単な気持ちでやってしまうのですが、後で争うのは非常に大変です。

 供述調書に署名するときはよく考えてしましょう。署名してしまってから、後で覆すのは「不可能」と思っていればよいと思います。

 むしろ、迷ったら、署名しないことですね。

 今回の業者も、弁護士に相談したときには、すでに供述調書に署名してしまった後でした。

 事実と異なることが書いてある供述調書であれば、もちろん断固として署名を拒否すべきですが、もし迷ったら、署名せず、とりあえず弁護士に相談することをお勧めします。

920-0902

  金沢市尾張町1-2-23 プチハイム尾張町1階101号 

 ネクスト法律事務所 

 弁護士 細 見 孝 次

 tel 076-261-6670/fax 076-261-6675

URL:http://homepage2.nifty.com/next-law/

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年6月 6日 (月)

談合事件(3)

 前回投稿からすっかり1週間です。急ぎの事件が入ったために更新遅れました。三日坊主にならないよう頑張ります。

 さて、談合事件の続きです。

 前回、「指名競争入札」は何の意味もないかのように書きました。少し誤解を招きそうなので、付言しておきます。

 役所も談合をさせるために「指名競争入札」をしているわけではありません(当たり前ですが)。

 指名競争入札の目的は、端的に言えば、「工事の質の確保」です。

 業者を、実績や技術力に応じて、たとえば、A~Fというようなランク分けをして、工事内容に応じて、ランクに見合った業者を数社「指名」するわけです。指名された数社は、競争入札をし、最も低い金額を呈示した業者が落札します。

 業者の規模等を無視して、たとえば、先月出来たばかりの会社で、従業員も1人しかいないのに、100億円の大規模工事を落札するなんてことは馬鹿げたことですし、まともに工事ができるはずがありません。

 まずは小さな工事から。

 実績を積んでいけば、ランクがあがり、より大規模な工事を受注できるようにするわけです。

 業者のランクに応じた工事を、同ランクの業者を競争入札させた上で、発注する。

 すなわち、

 ①業者のランク分けにより、工事の質の確保もできますし、

 ②競争入札させることで、最も合理性のある金額で発注することが出来ます。

 ③さらに、「指名」は同ランクの業者間では公平に行われることになっており、行政が特定の業者を優遇することなく、業者は平等に入札の機会を与えられます。

 工事の質も確保でき、発注金額の合理性も確保され、業者にとっても公平に機会を与えられる。

 指名競争入札というのは、「理論的には」合理性の高い方法なのです。

 しかし、「実質的には」、やはり非合理的な制度であり、早急に改善すべき必要性があると考えています。

 といいますのは、やはり数社が指名され、簡単に顔を合わせて密談が出来るというのでは、「談合をしてくれ」と言っているようなものです。この状態で談合を防ぐ方が困難であると言っても過言ではないと思います。

 ところで、談合ってなぜ悪いのでしょうか?

 発注者である市などに損害を与えるからです。

 それに加えて、競争力を低下させるというのも重大な問題です。

 つまり、談合によって、競争がなくなります。競争しないということは、技術が向上しません。

 一方、競争が行われている世界では、技術は日々向上していきます。

 ということは、公共工事で談合が行われていれば、公共工事だけ技術が向上せず、非効率的な工事を継続するということになります。

 もともと指名競争入札は、工事の質を確保するためのものでした。

 ところが、談合が行われることによって、工事の質も確保されないのです。

 税金が、非効率的で、かつ、高い落札業者に投入されることになります。

 だから、指名競争入札は直ちに改められるべきであると考えております。

 自治体も最近は入札制度の改善に取り組むところが増えてきました。長野県等は非常に頑張っていますが、工事の質はどうなんでしょうか?

 質が下がったという話はまだ聞いたことがありませんが、いい加減な工事が増えるようならまた考えなければならないですけどね。

920-0902

  金沢市尾張町1-2-23 プチハイム尾張町1階101号 

 ネクスト法律事務所 

 弁護士 細 見 孝 次

 tel 076-261-6670/fax 076-261-6675

URL:http://homepage2.nifty.com/next-law/

| | コメント (1) | トラックバック (1)

« 2005年5月 | トップページ | 2005年7月 »