2006年2月 1日 (水)

株式分割は違法じゃないぞ

 ライブドア事件、堀江前社長が否認している以上、まだなんとも言えないのですが、やはり分からないがの、株式分割が問題になっていることです。

 株式分割は商法上認められた制度で、なぜこれが「違法」の疑いがあるのか、解せません。

 株式分割とは、株式の数を増やし、一株あたりの値段を下げる手法です。

 たとえば、単純計算で、資産1000万円の会社で、100株発行していれば、1株あたりの値段は10万円です。

 この株を分割し、たとえば、1株を10株に分割するとします。100株だった発行株式は1000株になります。その分価値は10分の1になり、1株の値段は1万円となります。

 分かりやすく言えば、1万円1枚を1000円10枚にするようなものです。

 つまり、株式分割をしたからといって、株主が得をするわけではありません。同じことです。「1万円札1枚よりも、1000円札10枚の方がいい」なんて言う人はいないでしょう。

 しかし、現実、株式分割をすれば、株価が結構あがることが多いです。

 なぜか。

 理由は2つあります。

 1つは、株を買いやすくなり、資本が集まりやすくなるからです。

 100万円の株なら、100万円持っていないと投資ができません。10万円の株なら、10万円あれば投資ができます。株式分割して、1株の値段を下げることにより、投資しやすくなります。

 株を買う人がふえれば、株価もあがります。

 これが一つ。

 もう1つが問題です。

 株式分割をした場合、直後に株価が暴騰するケースがあります。

 先ほど述べましたように、株式分割自体には、株主にとってメリットがあるわけではないのですが、株式分割をする会社は、業績がいい場合が多いので、投資家が狙っていきます。

 株価上昇の期待が期待を呼び、買いが買いを呼び、一気に暴騰するのです。分かりやすくいえば、株バブルですね。

 ライブドアは、この「株バブル」を自ら起こしておいて、「バブル」絶頂期に、投資事業組合に株を売却させ、莫大な利益を手中にしていたという疑惑なわけです。

 これが事実なら、確かに、「ずるい」方法だとは思いますが、「違法」かと言われると、違う気がします。株バブルは、過剰期待が産む泡沫現象。投資家が、株式分割に、幻想を抱いているだけなのです。

 しかも、ちょっと知識のある投資家なら、「株式分割による暴騰は、株バブルであって、すぐまた下がる」と、誰でも分かってます。分かってながら、上昇する期待をして買い、最も高値で売ろうとしているのです。

 ファンドなどが、膨大な資金をつぎ込めば、株価があがり、一般投資家も注目します。あがったところでファンドは売る。売ったら株価は暴落する。こんなことはよくあります。

 テレビでは、これが違法であるかの如きコメントしている法律家がいますが、一体、何法の何に触れるのかが私には分かりません。株式分割は商法上認められた制度であり、合法です。それを違法だといえる法的根拠は一体何なのでしょうか。

 平成初期の土地バブルのときもそうですが、いずれにしましても、濡れ手に粟で稼ごうとしたお金は、一旦つかんでもバブルのように消えていく。あがった株価もバブルなら、売って得た利益もバブル、失ったお金だけが現実。

 株価の推移をみて、今後の日本経済を想像するのは好きですが、どうしても買う気にはなれません。「趣味」としては面白いのかもしれませんが、今回の事件で「おれのライブドアの株価が下がった!どうしてくれる!」と、特捜部に抗議しなきゃならないほどつぎ込むのはどうかと思ってしまいます。

 あがったさがったのと「博打」に費やす労力があるなら、仕事に労力を費やした方がずっといい。地道にコツコツ仕事するのが一番だと思う私の考え方は、古いのでしょうか。

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  金沢市尾張町1-2-23 プチハイム尾張町1階101号 

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 弁護士 細 見 孝 次

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2006年1月24日 (火)

ライブドア社長逮捕

 ライブドアの堀江社長らが逮捕されました。

 堀江社長は人間的に好きにはなれませんが、ある意味では尊敬もしておりましたので、非常に残念です。

 ライブドアは容疑を否認しており、今後の捜査の展開を見てみないと分かりませんが、容疑の一つになっている「売上げの架空計上」というものについて一言。

 破産事件なんかを見ておりますと、この「売上げの架空計上」をちらほら見かけます。

 たとえば、

 売上げ 1000万円  

 経費  1200万円 

 利益  ▲200万円

 の赤字会社が、架空の売上げを500万円作れば(たとえば、500万円の商品が売れたことにすれば)、

 売上げ 1500万円

 経費   1200万円

 利益    300万円

 と黒字会社に早変わりします。

 黒字になれば税金が発生するわけで、会社にとっては現金の収支からいえば「損」になるのですが、社会的な信用を維持したり、銀行からの資金調達のために、決算書上黒字にしておくわけです。

 親会社・子会社の関係であれば、売上げを架空計上しやすいです。

 また、以前破産事件で見た事例では、相手方の了承なしに、一方的に売掛金を帳簿にあげている会社もありました。

 このような会社が破産すると、決算書上、非常に不思議な現象が起こります。

 たとえば、平成12年:創業、平成13年度:黒字、平成14年度:黒字、平成15年度:黒字、ときて、

 平成16年:破産

 になったりします。

 「なんでずっと利益が出てたのに、破産するんだ」という感じですが、決算書を見てみると、毎年、特定取引先への「売掛金」が掲載されてたりします。

 ですので、決算書を見るときには、「会社の規模に比べて売掛金が多い会社は要注意」と言われます。粉飾決算の可能性が高いからです。

 これは本当かウソか分かりませんが、破産事件で事情を聞いていますと、「税理士の指示でやった」と言う人が結構多いのに驚きました。確かに、粉飾決算の手法など、中小企業のおっちゃんには分からないでしょうが・・・。でも、税理士が指示したという確証もないので、これまで税理士の責任云々というところまで発展したケースは私はありません。そういえば、今回逮捕されたライブドアの取締役も税理士さんでしたね・・・。

 会計基準も曖昧な部分がありますので、これも粉飾の温床になっているということなのかもしれません。

 いずれにしましても、破産事件で私が見た「粉飾決算」は、大きな社会問題になったりはしませんでした。やはりライブドアがこれほど大きな問題になっているのは、上場会社であることに加え、社会的な地位が非常に高いからであろうと思います。

 「世界一の会社」を目指しているそうですが、そう言える程社会的認知度が高まり、社会的地位が高くなった会社であればあるほど、「赤信号 みんな渡っても 渡らない」という潔癖さや、「李下に冠を正さず」という精神が必要になるのだろうと思います。

 社会的地位が高く、社会的信用を築いてきた会社ほど、失う信用は大きくなりますし、その分信用失墜に伴う損害の発生は大きくなりますからね。

 今、コンプライアンス(法令遵守)が盛んに叫ばれていますが、会社が大きくなればなるほど、社会的地位が高くなればなるほど、一層慎重に法令遵守に努めなければならないということなのだと思います。

 ただ、「君子危うきに近寄らず」だけでは積極的な企業運営もできませんので、経営者の方は、本当に大変だと思います。「節税」と「脱税」の境界線が微妙なように、「合法」と「違法」の境界線が微妙なこともあります。境界線を踏み越えないように気をつけながら、チャレンジしていかねばならないのですから。

 弁護士も、普段他人に「法律を守れ」と言っている立場上、万一違法行為があれば大変なことになります。慎重に業務に努めていきたいと思います。

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2005年11月22日 (火)

中国法セミナーのご報告

 先週土曜日、予定通り中国法セミナーが開催されました。

 まず谷口由記先生より、知的財産権について、現在の中国における知的財産権事情と問題の対処法についてご講演頂きました。

 現在の中国においては、模造品が大量に出回っているという現状があること、そして、その対策として、行政ルート、司法ルート、そして、税関での対処法を詳しく教えて頂きました。

 次に、村上幸隆先生より、労務管理について、「中国労働法の基礎知識」についてご講演頂きました。題名は「基礎知識」でしたが、契約書の作成方法等突っ込んだお話もして下さいました。

 日本人に対する労務管理ではうまくいかない部分につき、中国人向けの労務管理の方法をご講演頂きました。

 中国全土共通の「労働法」があり、地方毎に異なる「条例」等があり、また、法的根拠がない行政による指導等があり、行政の指導等に疑問を感じたら、まず法的根拠を確認することが大事であるとのことでした。

 講演後の質疑応答では、参加者の皆様から、実際にビジネスで直面している問題について質問がありました。

 以下は、セミナーの中で紹介がありました実務に役立つ参考図書です。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

●日中対訳 中国知的財産権法令集 株式会社アイ・ピー・エム

●日中対訳 中国労働関係法令集 株式会社アイ・ピー・エム

●日中対訳 中国会社法法令集 株式会社アイ・ピー・エム

●日中対訳 中国婚姻相続法令集 株式会社アイ・ピー・エム

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 好評のうちに終わりましたこと、参加者の皆様、そして、講師の先生方、準備作業をお手伝い下さったオフィスフォーティーズの皆様に厚く御礼申し上げます。

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2005年10月19日 (水)

中国法セミナーin金沢

 前回の更新から約2ヶ月も経ってしまいました。

 毎年9月は忙しいシーズンであることに加え(なぜ「9月」なのかについては機会があれば書きます)、急ぎの仕事が重なったためです。すいません。

 この間、村上ファンドの阪神電鉄株大量購入や、首相の靖国神社参拝に関する大阪高裁の違憲判断などいろいろありました。債権回収シリーズの続きも書きたいのですが、まだしばらく忙しいですので、時間を見てぼちぼち書いていきたいと思います。

 さて、今回は中国法セミナーのご案内です。

 大阪で仕事をしていた際、中国語と中国法の勉強をしていたのですが、そこでお世話になった先生方が、金沢でセミナーを開いて下さることになりました。大阪で中国法に詳しい先生方が勢揃いです。

 金沢では中国法関係に詳しい弁護士はあまりいらっしゃらないようですので、北陸近辺で中国法にご興味のある方はこの機会に是非ご参加下さい。

 金沢で中国取引をしている企業を調べてダイレクトメールを送ったのですが、漏れているかもしれません。

 本ブログをご覧になって、参加ご希望の方は、当事務所までお問い合わせ下さい。

 ちなみに今回は、当事務所の開設記念セミナーということで、参加費は無料とさせて頂いております。

 セミナーのテーマは、中国の知的財産権と労働法です。詳細は下記のとおりです。

                    記

 日 時 平成17年11月19日(土)午後1時30分~午後4時30分

 会 場 金沢読売会館 5階会議室A

        金沢市大手町5-30 TEL 076-233-4570

 参加費 無 料

 主 催 ネクスト法律事務所 弁護士 細見孝次

      920-0902 金沢市尾張町1丁目2-23 

                   プチハイム尾張町1階

      TEL 076-261-6670  FAX 076-261-6675

  

【司会】 塚本宏明(弁護士 弁護士法人大江橋法律事務所

      大江橋法律事務所上海・関西大学法科大学院教授)

【講師陣】谷口由記(弁護士・弁理士 弁護士法人フラーレン

      フラーレン上海事務所)

     村上幸隆(弁護士 土佐堀法律事務所 

            関西大学法科大学院講師)

※質疑応答に入りましたら次の弁護士にも参加していただきます。

     清河雅孝(京都産業大学法学部教授・弁護士 

            清河法律事務所)

     粟津光世(弁護士 粟津法律事務所 

            京都産業大学法科大学院講師)

     千森秀郎(弁護士 弁護士法人三宅法律事務所)

     小林幹雄(弁護士 弁護士法人中央総合法律事務所)

プ ロ グ ラ ム

13:30~13:35 総合司会塚本宏明弁護士より開会挨拶

13:35~14:50 【最近の中国の知的財産事情と

          日本企業の対応】

          講師 谷口由記(弁護士)

          1.     中国知的財産法の概要

          2.   日本の知的財産戦略

          3.   知的財産権模倣被害実態

          4.   侵害に対する救済(行政ルート)

          5.   侵害に対する救済(司法ルート)

          6.   模倣品対策

14:50~15:00   休憩

15:00~16:15 【中国労働法の基礎知識】

          講師 村上幸隆 (弁護士)

          1.     中国における労働問題

          2.   中国の労働法の概要

          3.   中国における労働契約の締結

          4.   中国の集団(労働)契約および就業規則

          5.   労働紛争の処理

          6.   労働契約の終了および解除

16:15~16:30 質疑応答

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2005年8月10日 (水)

衆議院の解散

 債権回収の連載をしようと思っていましたが、衆議院が解散しましたので、これについて書いてみます。

 国会議員は、言うまでもありませんが、国民の選挙によって選ばれた国民の代表者です。

 国会議員には、衆議院議員と参議院議員がいますが、憲法上、衆議院議員の方が強い権限を持っています。参議院で法案が否決されても、衆議院で3分の2以上の賛成が得られれば法案は可決されます(憲法59条)。

 また予算を先に審議するのも衆議院で、しかも、一定の手続を経ても参議院と意見が一致しない場合などには、衆議院の議決が国会の議決となります(憲法60条)。つまり誤解を恐れずに言えば、国家予算も衆議院だけで決めることが可能だということです。

 ですので、衆議院議員を「代議士」と言いますが、参議院議員はあまり「代議士」とは言われません。なお、「代議士」とは、国民の代表者として、国政を行う人のことです。

 そうすると、一体参議院は何のためにあるのかと思われるかもしれません。

 参議院の存在意義として言われているのは、(1)議会の専制の防止、(2)下院と政府との衝突の緩和、(3)下院の軽率な行為・過誤の回避、(4)民意の忠実な反映(「憲法 新版」(芦部信喜著)267頁)ということです。要するに、国会は日本の行く末を決める大事な場所なのだから、より慎重に議論しましょうということです。

 ただ、実際のところは、参議院不要論もありますので、憲法改正案の中には、参議院消滅案もあります。

 さて、その国政を担う衆議院を、首相が解散させました。

 小泉首相は、「郵政民営化が必要ないか、国民に聞いてみたい」と言っています。

 国民の意思を問うということは、解散の重要な意義です。

 つまり、現在の国会議員は、郵政民営化法案に対して、NOを突きつけたわけですが、もし国民の大半が、郵政民営化をYESと思っているならば、解散して再び選挙を行えば、「郵政民営化YES」の国会議員が多数当選するはずです。そうすれば、今度は郵政民営化法案が可決されることになります。

 内閣の政策につき、国民がどう思っているのか、解散によって国民の意思を確かめることができます。

 なお、この解散につき、「否決したのは参議院なのに、可決した衆議院を解散するのはおかしい」という批判があります。

 しかし、参議院で否決されたということは、法案を成立させるためには、衆議院で3分の2以上の賛成を得なければなりません。可決したといっても、過半数ぎりぎりセーフでしたから、3分の2以上の賛成など得られるはずがありません。

 ですから、衆議院で今度は「否決」されることは明らかですから、参議院で否決された時点で衆議院を解散しても、それほどおかしなことではないと思います。

 解散総選挙で、3分の2以上を郵政民営化賛成の議員が占めればよいのですから。そうすれば、再び参議院が否決しても、衆議院で可決し、法案を成立させることができます。

 小泉首相は、「自民党と公明党で過半数がとれなければ、辞職する」と言っていますが、過半数だとまた参議院で否決されるはずなんですけどね。現実的には、自民・公明で3分の2以上というのは不可能でしょうけど。

 ただ、自民・公明で再び過半数を取ったら、国民の過半数が郵政民営化に賛成しているということで、事実上、参議院が否決しにくくなるという効果はあると思います。小泉首相はこれを狙っているのかもしれません。

 個人的には、これまで小泉首相を応援してきましたが、郵政民営化については、小泉首相個人の私怨がらみとアメリカの言いなり感が否めず、「郵政解散だ」と言われると、あまり応援する気になれません。郵政民営化が国益になるとも思えません。

 かと言って、民主党に政権交代するのもどうかと・・・。民主党は、旧社会党の残党集団だと揶揄されていますが、もしそうなら、あの村山政権の再来かと思うと不安になります。

 世論調査を見れば、小泉首相の支持率があがっておりますので、この解散総選挙は小泉首相の思惑どおりに動くかもしれませんね。

 投票については態度を決めかねておりますが、国民の一人として、じっくり考えて投票したいと思っております。

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2005年7月21日 (木)

日弁連の会長選挙

 もうしばらくしたら、また日弁連の会長選挙があるようです。憂鬱です。

 弁護士は、全員、日本弁護士連合会(日弁連)に所属しており、さらに、事務所のある場所の弁護士会(私なら金沢弁護士会)に属しています。

 日弁連の会長は、弁護士の選挙で選ばれることになっており、任期満了が近づくと、次期会長は誰か彼かと噂になります。そして、毎回熾烈な選挙活動が繰り広げられます。

 日弁連の会長になって、何か得をするのかはよく分かりません。給料は確か年間で600万円ぐらいで、新人弁護士の給料相場と同程度です。一説によれば、顧問会社が増えるとかどうとかも言われますが、定かではありません。

 名誉争奪戦など、私は興味ないので、誰が会長になってもどうでもいいのですが、会長選挙で憂鬱なのは、電話攻撃です。立候補者の支援者から、頻繁に電話がかかってきます。アポ無し訪問も度々です。はっきり言って、「仕事の邪魔」です。電話回数チェックして、少なかった方に投票しようかとすら思います。

 しかし、電話している人の中には、別に本心は支援していないけれども、上司の命令でやむなくしているという人もおりますので、電話かけている人には腹立ちません。罪を憎んで人を憎まず(?)です。

 選挙となれば、選挙資金もかかります。一説によれば、数千万円とか。東京の弁護士が、大阪に選挙事務所を開き、莫大な費用をかけて、大阪での選挙活動を行うという説もあります。

 弁護士会は、政治家を批判したりすることもありますが、「同じようなことやってるのでは?」と疑問に思うこともあります。

 さて、莫大な時間と労力を費やして、会長選挙が行われ、「公益活動」をするらしいのですが、選挙事務所の運営に費やすお金があったら、ユニセフにでも寄付する方がよっぽど公益活動のような気がするのは私だけでしょうか。先日、ユニセフからダイレクトメールがきて、1万円で何百人の子供の命が助かるというようなことが書いてありました。1万円で100人としても、数千万円なら数十万人の命が助かるということになります。

 名前の押し売り電話や訪問攻撃をしている時間があったら、無料法律相談会でも開いた方が、よほど社会に喜ばれる「公益活動」なのではないかと思いますが、どうなのでしょうか。

 大枚はたいて耳障りのいいことを言い、電話攻撃して名前の押し売りをして、嫌がっている人に無理やり選挙活動させてまで、「日弁連会長」などという肩書きに執着する人よりも、人知れず地道に社会貢献しているような人にこそ、日弁連の会長になってもらいたいと思う今日この頃です。

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2005年6月 7日 (火)

談合事件(4)

 引き続き談合事件についてです。

 今回は3年間争った事件について書いてみます。

 先日も書きましたとおり、談合の嫌疑がかけられますと、①発注者である市などからの損害賠償、②公正取引委員会からの課徴金という二重の負担が課せられます。

 私が経験した事件では、談合の存在を争い、市と公取委と、両方と争いました。

 まず、公取委の調査が入りました。

 その後、市からの損害賠償請求を受けて争いました。(地方裁判所)。

 それとともに、公取委から課徴金納付命令を受け、これも争いました(公正取引委員会)。

 いずれも、談合の証拠とされたのは「供述調書」のみでした。

 「供述調書」とは、公正取引委員会が業者から事情聴取をする際、公取委の職員が聴取内容を書面にまとめて、最後に、業者に署名・押印させるものです。

 くだんの鋼鉄製橋梁建設工事では、談合を指示する文書が証拠として見つかったようですが、私の担当した事件では、そのような文書は一切なく、「供述調書」のみでした。

 公取委が証拠とした「供述調書」には、談合を認める旨の記載がありました。

 そして、最後に、業者が署名・押印もしています。

 しかし、それは、公取委の職員に脅されて、署名押印したもので、内容は虚偽だと争ったのです。

 脅されたというのは、たとえば、公取委の職員から、「これに署名しなかったら、おまえの会社を潰してやる」と言われたというのです。会社がつぶれたら一家路頭に迷うので、やむなく署名したと業者は主張していました。

 公取委は、そのような脅しはしていないと主張してきました。

 そこで、供述調書は、脅されたために署名押印したものか否か(任意性があるかどうか)、公取委と延々と争いました。

 約3年間争って、ようやく審理は終わりましたが、まだ審決(判決のようなものです)は出ておりませんので、いまは結果待ちの状態です。

 供述調書を作るとき、公取委では録音も録画もしません。ですから、脅されたか否かというのは、分かりやすく言えば、言った言わないの水掛け論です。

 端的に言えば、この水掛け論をやるのに、約3年かかったわけです。そして、この水掛け論に勝利するという保証もありません。

 供述調書に署名するときは、簡単な気持ちでやってしまうのですが、後で争うのは非常に大変です。

 供述調書に署名するときはよく考えてしましょう。署名してしまってから、後で覆すのは「不可能」と思っていればよいと思います。

 むしろ、迷ったら、署名しないことですね。

 今回の業者も、弁護士に相談したときには、すでに供述調書に署名してしまった後でした。

 事実と異なることが書いてある供述調書であれば、もちろん断固として署名を拒否すべきですが、もし迷ったら、署名せず、とりあえず弁護士に相談することをお勧めします。

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2005年6月 6日 (月)

談合事件(3)

 前回投稿からすっかり1週間です。急ぎの事件が入ったために更新遅れました。三日坊主にならないよう頑張ります。

 さて、談合事件の続きです。

 前回、「指名競争入札」は何の意味もないかのように書きました。少し誤解を招きそうなので、付言しておきます。

 役所も談合をさせるために「指名競争入札」をしているわけではありません(当たり前ですが)。

 指名競争入札の目的は、端的に言えば、「工事の質の確保」です。

 業者を、実績や技術力に応じて、たとえば、A~Fというようなランク分けをして、工事内容に応じて、ランクに見合った業者を数社「指名」するわけです。指名された数社は、競争入札をし、最も低い金額を呈示した業者が落札します。

 業者の規模等を無視して、たとえば、先月出来たばかりの会社で、従業員も1人しかいないのに、100億円の大規模工事を落札するなんてことは馬鹿げたことですし、まともに工事ができるはずがありません。

 まずは小さな工事から。

 実績を積んでいけば、ランクがあがり、より大規模な工事を受注できるようにするわけです。

 業者のランクに応じた工事を、同ランクの業者を競争入札させた上で、発注する。

 すなわち、

 ①業者のランク分けにより、工事の質の確保もできますし、

 ②競争入札させることで、最も合理性のある金額で発注することが出来ます。

 ③さらに、「指名」は同ランクの業者間では公平に行われることになっており、行政が特定の業者を優遇することなく、業者は平等に入札の機会を与えられます。

 工事の質も確保でき、発注金額の合理性も確保され、業者にとっても公平に機会を与えられる。

 指名競争入札というのは、「理論的には」合理性の高い方法なのです。

 しかし、「実質的には」、やはり非合理的な制度であり、早急に改善すべき必要性があると考えています。

 といいますのは、やはり数社が指名され、簡単に顔を合わせて密談が出来るというのでは、「談合をしてくれ」と言っているようなものです。この状態で談合を防ぐ方が困難であると言っても過言ではないと思います。

 ところで、談合ってなぜ悪いのでしょうか?

 発注者である市などに損害を与えるからです。

 それに加えて、競争力を低下させるというのも重大な問題です。

 つまり、談合によって、競争がなくなります。競争しないということは、技術が向上しません。

 一方、競争が行われている世界では、技術は日々向上していきます。

 ということは、公共工事で談合が行われていれば、公共工事だけ技術が向上せず、非効率的な工事を継続するということになります。

 もともと指名競争入札は、工事の質を確保するためのものでした。

 ところが、談合が行われることによって、工事の質も確保されないのです。

 税金が、非効率的で、かつ、高い落札業者に投入されることになります。

 だから、指名競争入札は直ちに改められるべきであると考えております。

 自治体も最近は入札制度の改善に取り組むところが増えてきました。長野県等は非常に頑張っていますが、工事の質はどうなんでしょうか?

 質が下がったという話はまだ聞いたことがありませんが、いい加減な工事が増えるようならまた考えなければならないですけどね。

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2005年5月27日 (金)

談合事件(2)

 前回に引き続き、談合事件について書きます。

 談合事件では、刑事事件として処罰を受けることがある他、金銭的にも

 1:発注者である市などからの損害賠償請求

 2:公正取引委員会からの課徴金請求

 という負担が課せられます。

 すなわち、争う場合、市・公正取引委員会の両方と争わなければなりません。

1:市などからの損害賠償請求

 談合がなかった場合に落札されたであろう金額と、実際の落札額との差額を、市などが被った損害と考えて賠償請求されます。

 たとえば、談合がなかった場合に5000万円で落札されていた工事が、談合により6000万円で落札された場合、市は1000万円の損害を被ったと考えるわけです。

 しかし、「談合がなかった場合に落札されたはずの金額」なんて、実際には分かるはずがありません。

 そこで、裁判の中で、あれこれデータを提出して、「談合がなかった場合に落札されたであろう金額」を推測していくわけですが、最終的には、裁判官は「相当な金額」として、損害を決めます。誤解を恐れずにいえば、裁判官が、損害額を「適当に」決めるわけです。

 過去の裁判例では、落札額の5パーセント~10パーセントを損害として考えているものが多いようです。

 つまり、6000万円で落札された工事ならば、300万~600万円の損害賠償が命じられることになります。

2:公正取引委員会の課徴金

 談合した場合、市などからの損害賠償請求とは全く別に、独占禁止法に基づき課徴金が課せられます。課徴金は、談合をした罰金ようなものです。損害賠償とは別に、罰金も支払わされるということになります。

 しかも、平成17年4月20日に独占禁止法が改正され、課徴金が引き上げられました(詳しくは公正取引委員会のホームページをご覧ください)。

 たとえば、損害賠償請求で10パーセント、課徴金で10パーセント取られ、さらに、裁判のための弁護士費用などを考えれば、談合した業者は大損です。さらに、談合が発覚したら、指名停止処分も受けますから、そのダメージは甚大です。

 ・・・と考えて、業者に「そんなにリスクが大きいなら、談合なんてやめておこう」と思ってもらうのが、課徴金の引き上げ等を規定した独占禁止法改正の趣旨です。

 しかし、前回書きましたように、発注者である市などが、談合ができない(少なくとも「しにくい」)システムを構築しなければ、根本的な解決にはならないように思います。のんべんだらりと指名競争入札を続けているようではね・・・。

 まして、市などの職員が、談合の存在を知っていながら黙認しているような場合ならなおさらです。

 ちなみに、談合が発覚し、市などから損害賠償請求を受けた業者が、裁判の中で、「市の担当者も知っていたじゃないか」などと言って、「談合を知っていながら発注したのに、後で損害賠償請求するのはおかしい」と主張している判例をしばしば見受けます。

 しかし、この主張はほとんど受け入れられることはありません。

 なぜなら、市の職員が談合を知っていたとしても、「市の職員」と「業者」が結託して「市」に損害を与えたということであって、「市」が被害者であることに変わりはないからです。

 ただ、知っていながら黙認したのであれば、市の職員も相応の処分を受けなければならないのは当たり前でしょう。市の職員と談合業者に連帯して賠償責任を負わせるべきだと思うのは私だけでしょうか。

 長くなってしまいました。私が3年間争った事件について書くのはまた今度にします。

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 弁護士 細 見 孝 次

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2005年5月24日 (火)

談合事件

 今朝の新聞、一面トップは、鋼鉄製橋梁建設工事の談合事件についてでした。

 談合は許されることではなく、事件の全容解明が望まれます。

 ただ、頻発する談合事件を見たり、また、談合の存在が疑われる公共工事が多数存することに鑑みますと、もっと根本的な解決が必要なのではないかと思われてきます。

 「談合しました」(加藤正夫著)という本がありますが、この本の中のことが全て本当なら、 

談合の根深さは相当なもののようです。

 現在の公共工事の入札の多くは、「指名競争入札」です。

 公共工事の発注者である市などが、名簿の中から、数社を指名します。指名された数社は、各自工事の見積もりを出し、入札を行います。そして、最も低い金額を申し出た業者が落札(工事を受注)するわけです。

 問題は、その入札の前に説明会があり、その場で指名業者が全員呼ばれ、指名業者全員が顔を合わせることでしょう。

 つまり、説明会に呼ばれた人以外に、入札業者はいませんから、説明会に来た人全員で話し合いをすれば、簡単に談合ができてしまいます。

 これに対して、「一般競争入札」の場合、沢山の業者が広く入札に参加できますから、談合はしにくいわけです。

 こういうことは、従前から言われていたことなのですが、なぜか今も指名競争入札が一般的な方法として残っています。

 指名競争入札には指名競争入札なりのメリットがあるということなのでしょうか・・?。

 談合をなくすという観点からすれば、やはりシステムを根本的に作り替える必要があるでしょう。指名競争入札は談合の温床になるように思えてなりません。

 さらに、上記「談合しました」の中では、役所が談合を黙認している姿が描かれています。これが事実ならば由々しきことです。

 なお、私の担当した事件で、談合の存在を争い、公正取引委員会で約3年間争ってきた事件があります。これについてはまた後日書きます。

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