前回から約2週間経過してしまいました。忙しかったためです。すいません。
債権回収の続きです。今回は不動産執行について書いてみます。
不動産とは、土地・建物のことです。なお、船舶・航空機などは、不動産ではありませんが、不動産に準じて取り扱われます(準不動産執行といいます)。
不動産執行は、大きく分けて2つあります。
「売り飛ばす」ものと、「売らずに活用して、あがった収益から回収する」ものです。
「売り飛ばす」ものは、一般に「競売」といわれるものです。裁判所を通じて売ってもらい、売却代金の中から返済を受けます。
「あがった収益から回収する」ものは、「強制管理」・「収益執行」と言われるもので、これは一般にはあまり知られていません。実務上も多くありません。
競売手続の概略は次のとおりです。
1 競売申立
2 物件の調査
3 売却基準額決定
4 入札
要するに、
1 裁判所に競売申立をすれば、
2 裁判所の方で物件を調査して、
3 物件の価格を決めてくれます。
4 それをもとに、入札が行われ、最も高い買値を呈示した人が購入できるというものです。
なお、物件の調査は、裁判所執行官による現況調査と、不動産鑑定士による評価が行われます。そして、それらをもとに、裁判所で物件明細書が作られます。
裁判所執行官と不動産鑑定士はただでは動いてくれませんので、不動産競売には数十万円以上の費用がかかります。物件が売れれば、これらの費用は、売却代金の中から優先的に回収できます。
「現況調査報告書」「評価書」「物件明細書」をいわゆる「3点セット」と言います。
競売物件に興味がある方は、裁判所で3点セットを置いてありますから、見に行ってみて下さい。一部インターネットで閲覧できるものも増えてきております。
現況調査報告書は、地図や物件の写真、部屋の間取り図などが貼付されています。これを見ればどのような物件なのかはイメージが持てます。但し、部屋の中の写真まではないのが通常です。
評価書は、不動産鑑定士が、近隣相場や物件の状況に鑑みて、妥当な値段をはじき出します。ごちゃごちゃと計算式が書いてありますが、要するにいくらと査定したのかという結論だけ見れば十分です。
物件明細書は、権利関係が記載されています。たとえば、建物に入居者がいる場合、賃借権があるということで、物件を買っても自分で自由に使えないこともあります。そこで、物件明細書を見て、権利関係をチェックしておく必要があります。
ただし、物件明細書は法的なことが書かれていますので、分からない部分もあるかもしれません。その際は、弁護士などに相談して下さい。買った後で、「使えない」ということのないように。
さて、競売で不動産を買うのと、一般的な不動産業者を通じて買うのと、その違いはどこにあるのでしょうか。
誤解を恐れずに言えば、競売はハイリスク・ハイリターンで、不動産業者を通じて買うのはローリスク・ローリターンです。
競売での物件の価格は、一般の流通価格の7割程度になっていることが多いです。つまり、1000万円の物件なら、700万円程度の評価が出るということです。うまくいけば、1000万円の物件を700万円で買うことができます。
値段が安い一方で、リスクもあります。競売では、現状のままの引渡しになります。壁が汚れているとか、水回りが汚いとか、お風呂が壊れているとか、裁判所に文句言っても裁判所は取り合ってくれません。つまり、「こんなはずじゃなかった」となる危険性があります。勿論裁判所はリフォームなんてしてくれません。
よって、ハイリスク・ハイリターンです。
不動産業者を通じて買うのならば、当然不動産業者の利益も考えた値段になってますから、値段は高くなります。しかし、不動産業者が中に入ってくれる分だけ安心です。
よって、ローリスク・ローリターンです。
うまく物件を見抜く力がある人にとっては、競売物件は宝の山であり、これで儲けて、本を出している方もおられます。
一方、不動産業者でも見誤ることはあり、競売で落とした物件が思うように売れず、赤字になることもあるようです。
債権者側からいえば、担保にとっていても、時価の7割程度でしか売れないということを念頭においておかねばなりません。ですから、時価1000万円の不動産を担保に取るのであれば、確実に回収したければ、700万円しか貸してはいけないということです。銀行なども競売になったときの価格は考慮した上で、貸付金額を決めています。
ただし、バブル当時は全く違ったようです。私が聞いた話では、バブル当時、4億円の物件を担保に、5億円の融資をしようかという相談があったそうです。相談を受けた弁護士が、「いつも担保7掛けとか言っていたのに、おかしいじゃないか」と言ったところ、ノンバンクの担当者は「いや、これぐらいすぐに値上がりしますから、いいんですよ」とか言っていたそうです。
やはりバブル時代って、みんなおかしな感覚だったんですね。
以上が不動産の競売手続の概要です。今日書いたことは一般的にもよく知られていることだったかもしれません。
次回は、「売らずに活用して、あがった収益から回収する」方法(強制管理・収益執行)について書いてみたいと思います。
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